「だいたいこんな意味だろう」と、妥協していませんか?

原文を何度読み返しても、自分の訳に確信が持てない。
辞書を引いても、AI翻訳に頼っても、複数の訳語のうちどれが「正しい」のか判断できない。
そして最後は──「たぶん、これで通じるはず」という曖昧な妥協で送信ボタンを押す。

その不安の正体は、英語力でも、語彙力でも、文法知識でもありません。
「原文の意味構造を抽出する手順を、誰も体系的に教えてくれなかった」── ただ、それだけです。

なぜ「単語の置き換え」では、翻訳が成立しないのか

翻訳とは、原文の単語を1対1で日本語に置換する作業ではありません。 言語学的に言えば、翻訳とは「表層の文法構造(surface structure)」ではなく、 「深層の意味構造(deep structure)」を抽出し、 それを目的言語の自然な構文で再構築する作業です。

例: "He chased her." を逆にしたい時──

英語: He chased her. She chased him. (動詞前後の順番で全て変化)

日本語: 彼が彼女を追いかけた。 彼女が彼を追いかけた。(語順を入れ替えても格助詞「が/を」で意味が確定)

観点 日本語 英語
構造の決定要因 格助詞(が/を/に) 語順(SVO)
語順の自由度 高い 低い
情報の自然な順序 背景 → 結果 結果 → 背景

構造そのものが違う言語間で、文法をなぞる翻訳は、日本語にした瞬間に意味を壊してしまう。

翻訳を『手順化』する4ステップ

原文を『コア(事実関係)』と『フリンジ(周辺情報)』に分解し、再構築する

  • Step 1 ─ コアを抽出する
    SVOなど、「誰が何をしたか」という事実関係だけを取り出す。修飾語・副詞句はいったん脇に置く。

  • Step 2 ─ コアを日本語で再構築
    単語の置き換えではなく、事実関係を正確に伝える自然な日本語へ。直訳と意訳の中間にある「忠実な訳」を目指す。

  • Step 3 ─ フリンジを統合する
    いつ・どこで・どのように・なぜ──保留していた周辺情報をコアに織り込む。情報の出現順は日本語の自然さを優先する。

  • Step 4 ─ 段落として論理を整える
    原文の論理展開に沿って、自然な日本語の流れに編集する。一文単位ではなく、段落単位で完成度を判断する。

「コア抽出」が、訳文をどう変えるか

講義で扱う実例の一つをご紹介します。米国のがん統計に関する英文です。

ORIGINAL

"Approximately 555,500 people in the United States are expected to die of cancer each year, an average of more than 1,500 a day."

✕ 単語置き換え型

およそ555,500人の米国の人々がガンで毎年死ぬと予測されている、平均して1日1,500人以上。

◯ コア抽出型

米国におけるガンによる死亡者数は、およそ55万5,500名であると言われており、1日平均1,500名超である。

違いの正体

  • コア「555,500 people die」を「死亡者数は55万5,500名」と名詞化し、事実関係を主語に据えた
  • 「the United States」をフリンジ(背景)として文頭に配置(日本語の自然な情報順)
  • 「are expected to」を「と言われており」と能動的な日本語に変換

このコース修了後、あなたは何ができるようになるか

  • 英文の「コア(事実関係)」と「フリンジ(周辺情報)」を、読みながら瞬時に分離できる

  • 直訳でも意訳でもない、「事実関係に忠実な訳」を再現性のある手順で組み立てられる

  • 日英の情報順序の違いを意識し、原文より読みやすい日本語を書ける

  • 一文単位ではなく段落単位で論理の通った訳文を構成できる

  • AI翻訳・機械翻訳の出力を、自分の判断軸で評価・修正できる

講師紹介

磯原 美都子

プロフェッショナルコーチ

幼少期よりマルチナショナルな環境で育つ。

20代から15年間、複数の企業に勤務し経営に携わる。

2011年の夏、偶然手にした雑誌のコーチングについての記事がきっかけとなりコーチングを学び始める。

その後、苫米地式コーチング認定コーチ及びパフォーマンス・エンハンスメント・コーチング認定コーチのライセンスを取得。

現在は、日英会議通訳、IT関連の翻訳、リバティーコーチング株式会社にて各種セミナー、養成講座のサポート 、国際担当秘書業務などを行なっている。

コース内容

    1. 4ステップ・英日翻訳メソッド

コース概要

  • 5,000円

よくあるご質問

  • Q1. 英語力に自信がありません。受講できますか?

    本コースは「英文法」や「語彙力」ではなく、「翻訳の手順」を扱います。むしろ、語彙や文法の弱さを「手順の確かさ」でカバーできるようになるのが、このメソッドの強みです。

  • Q2. AI翻訳が高精度になっている今、翻訳スキルは必要ですか?

    むしろ必要性は増しています。AI翻訳の出力には、コアとフリンジの組み立てがずれた「もっともらしい誤訳」が頻発します。これを評価・修正できるかどうかが、AI時代の翻訳者・ビジネスパーソンの分水嶺になります。本コースはまさにその判断軸を提供します。

  • Q3. どんな職種の方におすすめですか?

    特に、実務翻訳者(フリーランス・社内翻訳)、英文ドキュメントを日本語化する必要のあるビジネスパーソン(法務・医療・IT・製造)、英語論文を読む研究者、海外取引のある経営者などにおすすめです。

  • Q4. コースの長さ・受講形式を教えてください。

    動画は約45分です。オンデマンド型のビデオコースで、ご購入後はいつでも何度でも視聴可能です。

  • Q5. ¥5,000は買い切りですか?サブスクリプションですか?

    ¥5,000の単発購入・買い切り型です。追加費用は一切発生しません。

「たぶん大丈夫」で訳す日々を、今日で終わりにする。

4ステップを身につけた瞬間から、原文を読む眼差しが変わります。